グルシャンにおけるイタリア人銃撃事件を受けて

2015年09月30日 09:03

[10/1追記に補足しました]

本当は先日のメッカ近郊で起きた大巡礼中の圧死事故について書こうとしていたのですが,
一昨日夕方起きたイタリア人銃撃事件について書くことにしました.

昨夕,速報でこの事件を知ったときはこのblogで取り上げるのをどうしようかなと
迷っていたのですが,ISILが犯行声明を出したので記事にすることに決めました.

Tavella’s murder in Bangladesh has taken Italians by surprise, says senior journalist Biloslavo

Foreign missions concerned

事件は9月28日午後6時頃,ダッカ市内のグルシャンという各国大使館も集中しており,
外国人が多く居住する地域で,ジョギング中のイタリア人がバイクに乗った者らに拳銃で撃たれ殺害されました.
このイタリア人はオランダ系のNGOで活動していました.

事件同日に「ISIL(イラク・レバントのイスラム国)バングラデシュ」を名乗る組織が犯行声明を出し,
イスラム諸国における外国人に対するさらなる攻撃の可能性を示唆しています.
犯人は30日早朝時点でまだ逮捕されていません.

この事件を受けて英国および米国,カナダ,オーストラリアの外務省は,
武装勢力がバングラデシュにおける欧米権益を狙う計画を立てている可能性があるとして,
自国民に対し注意を呼びかけました.日本国大使館からも注意喚起のメールが来ました.
殺害された男性は,イタリア外務省および大使館へ対しTravel Alartを出すよう促していたようです.

また29日には多くのインターナショナルスクールなどは休講になったようです.
会社から帰宅する際に,グルシャンには普段より警官がたくさん配置されていました.

この事件がバングラ関係者にとって衝撃だったのは
・グルシャンという外国人が多く住み,しかも大使館が集中していて警備もそれなりの地区で
・午後6時というまだ早い時間帯に
・ジョギング中という明らかに金品強奪目的には向かない格好をしていたと思われる
・国際NGO機関で働くイタリア人が銃殺されたということです.


ISIL(もしくは,バングラの英語系報道機関ではIS=Islamic Stateとも)は,
9月上旬に,マレーシアやインドネシアなどの国名を具体的に挙げながら
日本を含む在外公館や外国人を標的にする旨の声明を出していました.
それを見てクアラルンプールやジャカルタに住む友人と連絡を取り合ったのがつい20日ほど前です.
まだこの事件が本当にISIL系統の組織によるものなのか真偽のほどはわかりませんが,
今後は切実に警戒する必要が出てきました.

実は,バングラデシュはかなり以前からタリバーンやアル=カイダなどイスラム系過激派の
潜伏国という噂がありました.セキュリティチェックが非常にザルいバングラは入国しやすいし
滞在中に見つかる恐れが他国より低いからです(と言われていました).

それでも,そういった過激派たちは通常,我々外国人はおろか一般のバングラデシュ人には
危害を与えるようなことはしてきませんでしたし,存在も表立ってはいませんでした.
一般人の治安という面ではダッカはそれほど悪くなく,道行く人にも緊張した様子は感じられません.

そのためこの事件は在住外国人には衝撃でした.
私怨や金品強奪目的の強盗殺人ではなく,
もし本当にISILの「敵対国」の国民という事で狙われたとしたら,日本人も他人事ではありません.

ただ私はこれを機にすぐにダッカの治安が悪化するとは思っていません.
おそらくほとんどの人がこれまでとそれほど変わらない生活を送れるのではないかと思います.
ただ今まで以上に「可能性」を頭に入れて行動する必要があるなと感じています.



事件から2日経って昨夕,政府は「ISは直接関与していない」との見解を出しました.

Italy agrees Islamic State didn’t murder Cesare Tavella, says Home Minister Kamal

イタリアもその意見に同調しているようです.
実際,最初からCrimeなのかTerrorismなのかはまだ不明という書き方でした.
今の段階ではISが与している可能性も,していない可能性も充分にあると思うし,
無関係に同調した国内過激派の暴走というセンもあると思います.


一方,スイスと韓国もトラベルアラートを出しました.

これらの国のアラートに対し,NY外遊中のシェイク・ハシナ首相は
「同様の事件はバングラデシュだけでなく世界中の国で発生しているがこのようなアラートは出ていない
なぜダッカの大使館はこのような判断をしたのか」と驚きの意を表明しています.

PM surprised over foreign missions' security alerts

私もこれには賛同する立場で,バングラデシュがイスラム教国という事で過剰に反応している部分もあるのかなと.
依然としてダッカはまだ緩い雰囲気で,人々の生活にはあまり影響がありません.
日常の危険度で言えばそれこそカラチやマニラのがかなり高いのではないでしょうか.
そしてテロに狙われる可能性でいえば名指しで挙げられたマレーシアやインドネシアの方が高いと思います.
またバンコクでも爆破テロがあったように,イスラム教国だから特別危険というわけでもないと思います.

むしろ,過去の事件を見ればバングラよりも欧米諸国のほうが事件発生数は多いのではないでしょうか.
もちろん普段以上に気をつけるべきではありますが,あまり過剰に反応しても,という気もします.
あとは各自の判断でよろしくお願いいたします.


コメント

  1. かわ | URL | RQ.tHLaA

    Re:グルシャンにおけるイタリア人銃撃事件を受けて

    その節はありがとうございました。
    来年のバングラ訪問が少し怖くなってきました。。。
    バングラは対岸のなんとかな感じがしてたのですがね。。。

  2. Naoko | URL | -

    >かわさん

    こんにちは.
    この件はまだハッキリしていなくて,ISIL名義で声明が出されたとはいえ
    直接関係のないグループによる犯行の可能性もあります.

    3日ほど経ちましたが一般バングラデシュ人には全く影響がありません.
    グルシャンは警備が厳しくなりましたが日中は問題なく歩けました.少し様子見ですかね..

    ただ直近ではバンコクの事件の方が大きかったんですよね.

  3. かわ | URL | RQ.tHLaA

    Re:グルシャンにおけるイタリア人銃撃事件を受けて

    ありがとうございます。
    友達にいろいろ聞いてみますね。

  4. のんのん | URL | -

    Re:グルシャンにおけるイタリア人銃撃事件を受けて

    4、5年前に一度ダッカでお話させた頂いた者です。
    (現地のお話、ありがとうございました)

    Yahooニュースで日本人男性が撃たれたというのを見て、ちょっと心配になってカキコミしています。
    私は南米で現地の会社に外国人たった一人とかいう状況で勤めたりしていましたが、ゲリラが出るような田舎のほうが誘拐とか重大な事件が多かった気がします。
    現地で仕事をされている方も不安に感じてらっしゃるでしょうし、付加的な情報があればありがたいでしょうね。(特に拠点を設けておられる会社は情報収集の指示がでている可能性がありますから)

  5. Naoko | URL | -

    >のんのんさん

    お気遣いいただきありがとうございます.
    現地では事件後かなり早く情報が伝わったのですが,
    初動発表の情報が交錯していてメディアの記載にもブレがあります.

    手口が似通っている為に先週のイタリア人男性の事件との関連で報道されていますが,
    こちらについては現在のとところ,IS関連を名乗る犯行声明などは出されていません.
    場所もダッカから離れているので,私たちも情報を集めつつ,大使館などの発表を待っているところです.

    バングラデシュに関して言えば,外国人にとって地方ではかなり安全という認識でした.
    今までにも治安が荒れている時期には危険な地域もありましたが,
    あくまでもバングラデシュ人同士の抗争であったので,私たちも衝撃を受けています.

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